Playground Scenes
あの日見たもの
ちっぽけに区切られた広場に
色彩が染みてくる頃
目覚めた君は心を燃やし始める。
すり切れた芝の香りと
鮮やか色のものたち
さかむけさびた鉄の臭いのなか
幼い君は景色の中を駆け巡る。
そのはじける歓声に立つ造形たちに
君の熱い身体が触れたとき
記憶という海への航海が始まった。
幾歳の荒波に君の姿は大人びて
あの日見たものたちはここにいて
君はくすみかけた視野の中で
打ち上げられた様々な記憶のかけらを
寄せ集めては継ぎ合わせる。
一筋の汗 その君の頬に射す
初夏の日射しはまぶしくて
透かした手のひらの向こうには
あの日の幼い君がいて
あの日見た色とかたちを
ポケットからあふれた思い出の中
無造作にねじ込むことで
君はまた一歩 歳を重ねる。