© 2018 Yoshiei Iwakura

Street Scenes

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街の記憶

街を歩くのが好きだ

カメラを首からぶら下げて

 

朝の光の中に浮かぶフェンス

日差しの木陰に沈む滑り台

夕照をはね返して光る街路灯など

街のあちこちにたたずむ彼らを撮り歩く

 

「そこにいること」

ただそれだけにこだわる頑固もの達が

至る所でそれぞれの生い立ちや

見たことや聞いたこと

めいめい書き記したノートブックを握りしめ

通りかかった誰かに読み聞かせようと

待ち構えている

そんな彼らを訪ね歩いては

カメラを向けてひとときを過ごすのだ

 

そんな一日を歩き終え

カメラの中をのぞいてみると

街のあちらこちらが、

あたかも発掘現場のように見えてきて

出てくる、出てくる

彼らの姿・彼らの思い・彼らのつぶやき

ページをめくるたび

風が吹き・影が飛び・色がちぎれ・光が騒ぐ

きらめく形・うごめく形・さまよう形

あれやこれやと拾い上げ

ひとつひとつの埃を払っては

色を注いで光を添えて彼らを磨き上げる

それはそれは楽しい時間が過ぎていく

 

頑固もの達を訪ねては、街の記憶をぶら歩き

彼らの晴れ舞台をしつらえながら

今宵もほろ酔い気分で更けてきた

 

さあ、ページを閉じて

今日もそろりとおしまいにするか