© 2018 Yoshiei Iwakura

Sun Set Scenes

夕凪の頃

海に向かう風が

聞き飽きた今日の会話を

沖の彼方へと運んでいく。

やがて赤い光の帯が海を渡り

頬を突き刺して地の果てへと走る。

それは一瞬にして地球を巡り

落日となって1日を結び終える。

 

赤い帯からちぎれ落ち、

波間に浮ぶ光の糸くずは

何千年も繰り返す記憶のかけら。

沈みゆく時の中で拾い上げては握りしめ

今、「ここにいる」を問いかけてみる。

そのぬくもりに心が満ちるころ

海を見つめる背後には

いつのまにか闇が来て

砂に沈む両足はずっと

ふるさとを踏みしめている。